養蜂場日記
膈王板(かくおうばん)
2009年6月23日 / 養蜂場日記
“王”を隔てる板。文字通り、女王を隔離する板のことです。
通常、蜂の巣箱は二段に積み上げます。上の箱は蜜を貯めるための貯蜜箱、下は女王が産卵し、働き蜂によって子育てが行なわれる育児箱となります。
二つの箱を隔王板で区切り、女王を上の箱から隔離して下の箱だけに産卵させるために使われるのです。
隔王板の目は働き蜂だけが通り抜けるだけの幅しかなく、体の大きい女王蜂や雄蜂は通り抜けできません。
結果として、上の箱には働き蜂によって運び込まれた蜂蜜が貯えられ、効率のいい採蜜ができるようになるわけです。
養蜂家の必需品 その3:ハイブツール
2009年6月19日 / 養蜂場日記
不思議な名前ですが、鉄製のへら状の何の変哲もない道具です。
でも、これがあるとないとでは、養蜂家の作業効率に雲泥の差が出てきます。
ミツバチは巣内部を外部から防護するために、プロポリスを含んだ“やに状の物質”で、巣を密閉しようとします。
巣枠は勿論、箱蓋さえも頑固にくっ付いて、簡単には開けられない時がよくあります。そういう時にこのハイブツールでこじ開けるようにすると、意外に簡単に開けることができるのです。
また、巣枠も巣箱にがっちりと固定されて動かせないときがあります。この場合も、ハイブツールで簡単に引き離すことができます。
巣内部にこびりついた汚れや“やに”をこそぎ落とすのにも重宝します。
いろいろな場面で大活躍する「万能選手」といったところでしょうか。
養蜂家の必需品 その2:薫煙器(くんえんき)
2009年6月18日 / 養蜂場日記
養蜂家は日常的に巣箱内部のチェックをして、コロニーの状況を把握しておかなければなりません。この作業を内検(内部検査)と言います。
ミツバチを興奮させないで、スムーズに内検をするために使われるのが、この燻煙器です。
巣箱の蓋を開けて、ゆったりとした感じで、全面に煙を吹きかけます。そうすることによって、ミツバチ達に、ある“勘違い”をさせるのです。
ミツバチの遺伝子の中には「山火事」の情報がインプットされています。山火事が起こった時、ミツバチの取る行動は巣から避難することですが、その際、貯めていた蜂蜜をお腹いっぱい詰め込んで、安全な場所に避難するという本能的な行動を取るのです。
燻煙器の煙で山火事を想起させると、ミツバチは蜜枠に張り付くようにして、一斉に貯蜜を食べ始めます。それ以上は煙をかけずにそっとしておくと、貯蜜でお腹をいっぱいにした蜂たちは、最初の興奮状態から開放され、穏やかに行動するようになります。
その間に、手早く内検を終えれば、無用の混乱を避けることが出来るのです。
煙の材料は天然の植物性のものを使います。間違っても、化学繊維などは使ってはいけません。宝塚はちみつではコーヒー豆の麻袋、いわゆる“ドンゴロス”を利用しています。
今何時?
2009年6月16日 / 養蜂場日記
トケイソウ(時計草)
初めてこの花を見た時、なんて不思議な形をしているんだろう!と感動しました。まさに時計そのもの。
英名の「パッションフラワー」は、情熱の花ではなく「受難の花」ということで、“キリストの受難”の意味。
雄しべがキリスト、花冠が後光を表わしているのだそうです。
この花を家内が水盤に浮かべてくれましたが、翌朝にはもうしぼんでしまっていました。
種が多いので、苦手な人もいるようですが、パッションフルーツはオレンジ色のゼリーみたいで、美味しいんですよね。
種ごと食べる、面倒だけど種はいちいち出す。
あなたはどちらですか?
養蜂家の必需品 その1:面布(めんぷ)
2009年6月15日 / 養蜂場日記
雨天、曇天など気象条件の悪い時には、ミツバチもご機嫌斜めです。
ブンブンと鋭い羽音をたてて、私の頭の周りを飛び回り、隙あらば刺そうという態勢をとってきます。
面布なしでは養蜂の仕事は成立しません。
面布にはいろいろな種類がありますが、基本的には、目の細かい網からできています。
蚊さえ通さない細かさで、完全に顔面を守るようになっているのです。
巣房の中の卵や蜂児を確認する時、顔をくっ付けるようにしてやる場合がありますが、目の前、10~20センチのところに何千という蜂が群がっていても、面布があれば安心です。
養蜂家の必需品筆頭にあげられるのも当然です。
ウツギは今が花盛り!
2009年6月14日 / 養蜂場日記
真っ白いウツギの花に、ミツバチが群がっています。
心地よい風に揺られながら、懸命に花から花へと伝っています。
輝く若葉、純白の花、ミツバチ・・・初夏の三点セットが揃いました。
見ているだけで心が和んできます。
林を渡ってくる爽やかな風の中、ミツバチを飼う幸せを実感しています。
おはよう!
2009年6月11日 / 養蜂場日記
午前4時30分。夜明け前、まだ薄暗い。
ウグイス、メジロ、コジュケイ、ホオジロなど多くの鳥たちは、すでに朝の合唱を始めています。
今日は蜜を搾る日です。
ミツバチ達は夜間、一斉に羽根を震わせ、昼間集めた蜜の水分をとばす作業に専念します。
そうすることによって蜜の糖度を上げ、さらに多くの蜜を蓄えることが出来るようになるのです。
糖度が高く、より甘くて美味しい蜂蜜を採るためには、早朝に採蜜することが不可欠となります。
この時期になると、蜂の数は年間のピークに達します。
気温も高くなり、巣箱の中に納まりきらない蜂たちは、写真のように巣門の周辺に群がって夜を過ごすようになります。
そして又、日が昇り、明るくなるとともに、彼等の忙しい一日が始まるのです。
あの山の向うに
2009年6月8日 / 養蜂場日記
我が家から眺める長尾連山。
麓には聖徳太子により建立された中山寺があり、安産祈願のために、全国から多くの人々が参拝に訪れます。
宝塚市は、この峰々を境に、繁華な南部と、静かな北部山里地帯とに分かれます。
養蜂場は北部の緑溢れる山里にあります。
さわやかな新緑の広葉樹林の中を車で走ること約30分で、養蜂場に着きます。
南部の喧騒からは想像できない、落ち着いた雰囲気の北部の山間地区。
ミツバチ達は、澄み切った大気の中を自由自在に飛び回って蜜を集めてきます。
養蜂場に行けない日には、連山の彼方の空を眺めながら、ミツバチ達の無事を祈っています。
住宅地に水鳥
2009年6月6日 / 養蜂場日記
我が家の周囲には灌漑用の池がたくさんあり、いろいろな水鳥が集まってきます。
その昔、征夷大将軍の坂上田村麻呂が開いた土地ということで、歴史も古く、格式の高い古い神社もたくさんあります。
家のすぐ近くを流れる、川幅5mほどの川には“天神川”という何となく歴史を感じる名前が付けられています。また、少し離れた所には”天王寺川”と言う流れがあり、こちらも緑の堤が綺麗な川です。
綺麗に整備され、桜並木の続く堤は格好の散歩コース。
愛犬“テッチャン”と散歩している時、写真のような光景に出会いました。
人と水鳥が共存している、そんな雰囲気がいっぱいの土地なのです。