黄金色の波
2009年9月13日 / 養蜂場日記
私の父は教師をしていましたが、田舎のことで、田んぼを持っていました。
日常の管理は親戚の農家に頼み、田植えや稲刈りの時に、父母、姉、兄と一緒に作業の手伝いに行きました。
私は姉や兄とは、15歳以上も年齢が離れていましたので、皆が働いている間、一人でおとなしく遊んでいました。
田んぼの近くの道路を、たまにトラックが通ります。
私はそれが嬉しくて、田んぼのあぜに座って道路を眺め、車が来ると「1だーい、2だーい」と数えては、「ねえちゃん、トラックが2台通ったよ!」などと姉に報告するのです。
お昼になると、家から持ってきたお弁当を広げて昼食です。
ゴマをまぶしたおにぎりの美味しかったこと!
田んぼから帰る途中、大学生だった兄が「ちょっと待ってろよ」と言って、傍らの木に近づき、ツクツクボウシを捕ってくれました。
飛び上がらんばかりに嬉しくて、大事に両手に包み込んで持って帰ったのを、今も昨日の出来事のように覚えています。
優しかった父母、そして可愛がってくれた兄も他界した今、黄金色に輝く稲穂の広がりや法師ゼミの鳴き声に、幼い頃の家族の暖かさを思い出し、何とも言えない安堵感を覚えるのです。
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